第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分 第33回「食物繊維」

ブドウ糖や果糖などの糖分子は、人体にとって重要な栄養源ですが、ある特殊な結合をすると人体内で消化することができなくなります。そのようなものを、食物繊維といいます。

通常的に表現すれば、「人の消化酵素で消化されない、食品中の難消化性成分の総体」ということになります。

米、麦などの穀類、イモ類、豆類、木の実、キノコ類、野菜に多く含まれており、魚類、貝類、肉類、乳製品には、まったくといっていいほど含まれていません。

食物繊維は、食道、胃、十二指腸、小腸を素通りして、大腸にたどり着きます。大腸では水分を引き込んで膨張しますので、便秘の人にはある程度の効果をもたらします。また、大腸内では、腸内細菌に分解されてガスを発生します。そのガスが大腸運動を高めるので、腸の健康保持には重要な成分ということになります。

食物繊維は、摂取後、しばらく胃にとどまって膨張します。この時に軽い満腹感を作り出します。また、ゆっくりと十二指腸に送り込まれますので、食物中の炭水化物の消化吸収を遅らせ、血糖の急上昇を抑えることができます。以上の2点から、使いようによっては、ダイエットや糖尿病予防に効果的です。

昼食や夕食の少し前に多めの野菜を食べておくと、腹八分目の健康管理には有用かもしれません。ただし、ドレッシングのカロリーには気を遣ってほしいものです。

33

第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分 第32回「カフェイン」

カフェインは、コーヒーやお茶などの飲料物に含まれていますので、よく知られています。カフェインは、中枢神経系、心臓、筋肉、腎臓に働きかけ、眠気や疲労感を軽減させ、集中力を高め、利尿作用を発揮し、刺激に対する反応時間や運動能力を向上させますが、現時点ではドーピング薬物には指定されていません(過去は、ドーピングの指定を受けていました)。

カフェインは日常的に摂取されていますが、依存性(=身体が本能的に欲するようになる)や耐性(その効果がなくなってくる)があるだけでなく、一気に10g以上摂取すると中毒死することもありますので、正確な知識を得ておく必要があります。

カフェインには、脳血管収縮作用があります。だから、カフェインを連日235㎎(豆からの抽出コーヒー2~3杯に相当)以上摂取している人がある日突然コーヒーを飲むことをやめると、脳血管拡張に伴う頭痛を感じることがあります。「朝起きてしばらくすると頭痛を感じる。でも、コーヒーを飲むと頭痛が治る」という人は、それが原因です。

カフェインの取り過ぎで、不眠症を招くことはよく知られています。また、胃酸分泌促進作用があり、「胃がむかむかする」「胃潰瘍が悪化する」なども生じます。

そういうわけで、成人では、カフェインは1日に400㎎以上摂取するべきではないと思うのがいいです。できれば、200㎎以下が望ましいです。

参考までに、カフェイン200㎎に相当する飲料を掲載しておきます。

  • 豆から抽出したコーヒーなら、500㏄
  • インスタントコーヒーなら、700㏄
  • 紅茶なら、1100㏄
  • 緑茶なら、1100㏄

32

第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分 第31回「ビタミンE」

最近、健康関連で「酸化ストレス」という単語をよく聞きます。酸化の影響で「さびる」などと表現されますが、一体どういうことなのでしょうか。

「酸化ストレス」とは、一言で言えば、「過剰酸素が体内で余計な化学反応を起こさせる」ということで、その結果、細胞膜と核酸に障害が発生します。過剰酸素が原因ですから、激しく運動するスポーツ選手は、酸化ストレスを強く受けているわけで、だから、平均寿命が短いといわれています。

細胞膜は、脂質二重膜という脂肪の膜でできています。ちょうど水玉を脂肪の膜で覆っているのが一つ一つの細胞という感じです。この脂肪膜に障害が発生すると、炎症的な状況が生まれます。障害を発生させる大きな原因が活性酸素で、それが膜の中に過酸化脂質を作り出し、炎症を惹起します。血管内皮細胞でその炎症が発生すると、動脈硬化が促進されます。

細胞の核の中に収められているDNAは、核酸でできています。核酸も酸化ストレスで障害を受けると、突然変異を起こし、ガンの原因となります。

つまり、酸化ストレスが、動脈硬化とガンの一員になっているというわけで、酸化ストレスを抑える栄養成分は「抗酸化作用を持つ」といわれ、自動的に「健康にいい」ということになります。

酸化ストレスを抑える代表が、ビタミンEです。ビタミンEはアブラの中に溶け込みますから、日常生活では、自然にかなりの量を摂取できています。特に多い食品は、アーモンドです。不足すると、手足の冷えなどが発生します。

不足することや過剰になることは滅多にありませんが、アブラを摂取しないやせ型の人は不足してもおかしくないので、手足の冷えで悩んでいる人は、試しに、ビタミンEを多めに摂ってみるといいかもしれません。

31

第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分 第30回「ビタミンK」

脂溶性ビタミンの一種であるビタミンKは、ビタミンK1~K5まで5種類が存在します。食事で摂取できるのは、ビタミンK1とK2です。ビタミンK1は、人体内でビタミンK2に変換されて作用します。

ビタミンK1は、植物が光合成を行うために使われるので、シソ、春菊、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどに多く含まれており、それ故に、市販されている青汁に多く含まれていることになります。ビタミンK2は鶏卵に含まれていますが、微生物から合成されるので、納豆に異常に多く含まれています。

人体内におけるビタミンKの役割は、血液凝固と骨の合成です。

ケガをすると出血します。このメカニズムは、第1段階で血小板が凝集してふたをすること、第2段階は、血液凝固因子が集まってきて固めることです。血液凝固因子は肝臓で合成されますが、そのためにはビタミンKが必要です。

もう一つは、骨の合成です。具体的には、オステオカルシンというタンパク質を活性化させて、カルシウムを骨に沈着させることです。

ビタミンKが欠乏すると、血液凝固因子が不足し、出血しやすくなります。また、骨が脆くなります。

緑黄色野菜、青汁や納豆でしっかりと補充できるので、ちょっと意識すれば欠乏症になることはありません。なお、ワーファリンなどの血液凝固を抑える薬を内服している場合は、ビタミンKを取り過ぎてはいけません。せっかく薬を飲んでいることの意味がなくなってしまいます。

一般に、ビタミンKの過剰摂取の健康被害はないといわれていますが、私はそうは思っていません。

子供の背が伸びる経過の中の「止まりゆく3年」で納豆をたくさん食べると、背の伸びが悪くなります。イソフラボンの影響も大きいと思っていますが、ビタミンKの作用で骨端線部の軟骨細胞が、十分に肥大化する前に骨化している可能性があるとみています。

子供の身長発育の最後の段階での伸びをロスさせるのは、過剰症というべきものかもしれません。

30

第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分 第29回「カリウム」

「人体は60兆個の細胞でできている」といわれています。その一つ一つの細胞を覆う細胞膜には、ナトリウムとカリウムを入れ替える小さな出入り口がたくさんあります。細胞内のナトリウムを細胞外に排出し、それと同時に、細胞外のカリウムを細胞内に取り組むのです。具体的には、ナトリウムを10原子排出するのと同時に、カリウムを10原子取り込みます。つまり、同数ずつ入れ替えるのです。この出入り口は、「ナトリウム-カリウム・チャンネル」と名付けられています。

だから、自動的に細胞の中には、カリウムが多くなると同時にナトリウムは少なくなり、細胞の外(細胞と細胞の隙間や血液)には、カリウムが少なくなると同時にナトリウムが多くなります。

血液中のカリウム濃度が高くなると、不整脈が出現し、ついに心臓は心室細動を起こし、止まります。そのカリウムを体外に排出するのは、腎臓の役割です。

くも膜下出血などの重病で倒れ、救急病床で治療をしていた場合、起死回生の治療ができなければ、徐々に腎臓が悪くなり、血液中のカリウム濃度が上がってきます。カリウム濃度が7.0mEq/Lを超えると不整脈が多発し、心臓停止に至ります。

日常生活でカリウムが不足することはありません。しかし、カリウムを多めに摂るとナトリウムの排出が促進されるので、高血圧の治療や予防に有効かもしれません。一方、慢性腎不全患者では、カリウムの排出ができず、体内に蓄積して不整脈から心停止の可能性が高まるので、カリウムの摂取を制限します。通常摂取量でカリウムを多く摂ってしまう食品は、キュウリ、スイカ、メロン、バナナ、海藻類です。

採血の結果で、カリウムが高くなっていてギョッとすることがあります。たいていは、採血したスピッツを長時間放置したために、赤血球が壊れて、赤血球内のカリウムが血清中に漏れ出た場合です。

また、ワーファリンを飲んでいる時に納豆を食べてはいけないといわれますが、これは、ビタミンKの話です。

カリウムとビタミンKを間違える人がいますので、ご用心ください。