第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分 第2回「アルギニン」

治療薬としてのアルギニンについてから、まず、お話したいと思います。

尿毒症という単語を、聞いたことがあると思います。腎不全などで、体内に毒性物質がたまる現象です。ここでいう「毒性物質」というのは、アンモニアのことです。人体にとって、アンモニアは毒性物質なのです。

先天的に、このアンモニアが蓄積してしまう病気があります。先天性尿素サイクル異常症といいます。その治療に用いられるのは、このアルギニンです。アルギニンは、アンモニアを処理する作用を持つのです。この作用を持つことから、アルギニンの研究は、医学の中で重要なウェイトを占めてきました。

さて、人体を構成するアミノ酸は、20種類あります。このうちの一つが、アルギニンです。体内で合成することができますので、口から摂取する必要がない非必須アミノ酸に分類されています。しかし、このアルギニンが多めに投与されると、人体の健康にプラス効果のある作用を及ぼすことが知られています。

アルギニンは体内では、タンパク質を作り出す作用を高める働きを持ちます。だから、コラーゲンの合成能力を高め、外傷や褥瘡の治癒を促します。この「タンパク質を作り出す作用」のことを蛋白同化作用といいますが、この作用を持つことが、サプリメントとしての有用性を確保します。筋肉発達、コラーゲン増生による肌の張り・弾力の向上に役立つのです。

ところで、細胞の核を構成するタンパク質の成分アミノ酸としては、最も含有量が多いことが知られています。だから、細胞分裂の際に多量のアルギニンが必要になります。このことは、子供の発育に大きく影響します。食事からの摂取が不足すると、骨端線における軟骨細胞の分裂増殖と肥大化に悪影響を及ぼし、身長の伸びが悪くなります。

また、診療現場においては、アルギニンは成長ホルモンの分泌刺激剤として用いられています。

アルギニンは、三大栄養素の一つであるタンパク質の一種に過ぎず、通常の食事でも一定量が摂取されていますが、単独投与で人体に種々の作用を施しますので、第4栄養素の一つとして、君臨する栄養素として認定されています。

第4栄養素となる成分

第4栄養素となる成分 第1回「クロム」

ミネラル(金属元素)の一種で、レバー、エビ、ビール酵母に多く含まれています。穀類にも含まれていますが、精製過程でほとんどが失われてしまいます。医師の手元の20~30年前の医学書には、「クロム含有耐糖因子により、糖尿病患者の耐糖能の改善が見られることから、クロム欠乏は、糖尿病の原因の一つと考えられる」と明記されています。研究が進み、今では、すい臓から分泌されて血液中を巡るインスリンが、作用する臓器(肝臓、筋肉など)の細胞表面のレセプターと結合する反応を補助する耐糖因子の構成成分であることが、判明しています。
自然界には、3価のクロム、6価のクロムが存在しますが、人体に有用なのは、3価のクロムです。

脂肪細胞を顕微鏡標本にしてクロムで染色すると、脂肪細胞が二種類に分類されることがわかります。クロム染色で褐色に染まるのが、褐色脂肪細胞、染まらないのが、白色脂肪細胞です。染まるということは、クロムと反応しているということであり、クロムが特殊な作用を及ぼす脂肪細胞があることを意味します。

クロムと反応する褐色脂肪細胞は、熱を産生する細胞であり、中性脂肪をため込む一般の脂肪細胞とは異なっています。血液中の中性脂肪や糖などのエネルギー源を取り込んで、熱に代えるのです。「痩せの大食い」の人の身体を調べると、食後30分くらいで体温が急上昇しているのが観察されます。摂りすぎたエネルギーを褐色脂肪細胞が猛烈に働いて、熱に代えて消費してしまっているのです。一般に褐色脂肪細胞の活性度が強い体質の人は、たくさん食べても太りません。
以上のことから、クロムは、糖尿病治療やダイエットに有用です。これほど明確な作用を持っていながら、自然界に普通に存在する成分であるために、医薬品には認定されておらず、医師が関心を示さないのも特徴です。
生まれたての赤ちゃんの身体には、100gもの褐色脂肪細胞が存在しますが、20歳になると、40gに減っています。この40gの褐色脂肪細胞の活性度は、加齢に伴い、低下します。年とともに太りやすくのは、それが原因です。

糖尿病治療やダイエットの目的においては、1日の摂取量は、200~400μgが最も適切です。この摂取量において、副作用らしいものはありません。